チカラシバが穂を出してきた。山里の秋を代表する光景だけど、名前の通り、根を張ると、てこでも動かないくらい、しっかりと地面にくっつく。普通に草むしりなんか出来やしない。
この時期、真夏に比べて雑草が次々に生えてくるわけではないのだけど、こまめに草刈りをする。その理由が、雑草が花を咲かせて、種をばらまく季節だからだ。その先手を打って、種をばらまく前に、花を咲かせる前に刈り取っておきたい。山里に住んでいると、やらなければならないことが次々に出てきて、それに追われるように作業をしていく事になる。
酷く暑い夏だったが、お彼岸を過ぎてから急に涼しくなった。時には、夜になると一枚羽織るものが欲しくなるくらいには冷えて来る。この急激な気候の変化で体調を崩す人も多いのではないか。私自身は、涼しくなったとたん、体から緊張感が無くなったのか、夏の疲れが出てきて、やたらと眠くなった。こういう時は観念して寝るに限る。
そういえば、お彼岸が過ぎて急に涼しくなった朝、妙に救急車の音が立て続けに鳴っていた。周囲の人と話したら、「気候の急変で体調を崩す人が続出したんじゃないか」と推理していた。そういう事もあるかもしれない。高齢者などの体の弱い人にはキツイ変化だし、急に涼しくなったのに気づかずに夏向きの布団のまま寝て、風邪をひく人だっているだろう。
知り合いの方で、車を購入したのだけど、八王子で降った雹の被害に遭って、せっかくの新車をボコボコにされて嘆いている人がいる。ほんとに可哀そうだと思ったけれど、これから、ああいったゴルフボール大の雹が普通に降ってくるような夏が、当たり前になってくるのだろうか。そうなると、車の保管方法だって考え方を変えなければならなくなる。青空駐車ではなくて、ちゃんと屋根のある所に保管しなければならないと認識を新たにするようになるのかな。屋根と言っても、プラスチックの波板くらいだったら、経年劣化が進んだ波板なら雹が降ると穴が開くけどね。
なんか、今までとは違う認識で気候について考えなければならなくなるし、対処もしなければならなくなる。まあ、追い詰められれば何とかしようと動き始めるのも人間なんだけど。
最近見た情報で、夏の暑さ対策でこんなものを知った。
放射冷却を使った熱を逃がす仕組みだけど、いろんな所から、同じような技術が発表され、製品化されているそうな。
太陽から発せられる光の黒体放射温度は5800K。これは、理屈では、太陽の光に当たった物質は、絶対温度で5800度まで上げる力を持っていることになる。
もちろん、地球は5800度なんかにはなっていない。太陽の光の多くの割合が、地表まで届かずに反射され、地表まで届いた光も地球を暖めるけれど、その一方で、地球から宇宙空間に逃げていく熱もある。地球の平均気温の摂氏15度という数値は、地球に入り込む熱と、地球から逃げていく熱の収支の上での数字だ。
宇宙は絶対零度に近い極低温の虚空が広がっている。地球に溜まった熱も、赤外線の形でどんどん宇宙に逃げていく。この仕組みを効果的に使えば、夏でも涼しい環境が作れるのではないか、という話は昔からあった。
最近になって、酷暑が当たり前になって来ると、こういった技術にも更に磨きがかかって研究が進んでいくんだろうな。まあ家電のエアコンのように、素人でもすぐに「涼しい」と、はっきり分かるような技術ではなさそうだけど。
農作物では暑すぎて収穫が出来ない事例が増えて来る。そんな時、こういった素材で所々に屋根を作った下で畑をやれば、少しは暑さの害が防げるかもしれない。実際、放射冷却素材ではないけれど、畑の上に所々、太陽電池を設置して日陰を作って、そこで農作物をしている例は既にあるからな。話に聞けば、特に収量が落ち込むという事もないらしい。
気候が変われば、町の景色も変わっていくだろう。男が日傘をするのも珍しくなくなり、家の形も夏の暑さを考えた形に変わっていくかもしれない。
思うのだけど、こう激しく暑くなったら、マンションのような集合住宅でも、案外、北向きの部屋でも喜ばれるようになるのかな。太陽の光の入らない、薄暗い住居なんて信じられない、と思う人は今でも主流だと思うけれど、日陰の家の方が「ほっとする」という人だって、これからは増えて行くかもしれない。
もちろん、そんな部屋は冬は辛かろうけれど、夏の辛さと冬の辛さ、どっちを取るかと問われた時に、夏が涼しい方がまだマシ、と答える人は、すでにけっこういるんじゃないかな。
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