2024年 9月15日

 上の写真、判りにくいかもしれないが、旧篠原小学校で、今は山里を体験できる施設として使われている「篠原の里」なんだけど、その建物の裏側の斜面で工事が始まっている。この工事、篠原の住民にとっては悲願の一つだった。

 小学校としては使われなくなっても、篠原地区にとっては最大の大きさのコンクリートの建物なので、災害時には避難場所としての期待も大きいし、実際、大雨で各所で人家に被害があった時には避難場所として使われてきた。ただ、相模原市としては、この建物を正式に避難場所としては指定できない理由があった。

 それは、この建物の裏側の斜面が、大雨の際に崩れる可能性があったからで、ならばその斜面の補強工事をすれば、正式に避難場所として使えるという事になる。実際、篠原地区の住民にとって、正式な避難場所は、そこからずっと離れた所にある南小学校で、そこまでは長い細道が4キロ以上続いて、南小学校に行くだけでも危険なのではないかと想像されるし、あまり現実的ではない。

 そこで、ようやく斜面の補強工事が始まって、これが完成すれば、どこに恥じる事も無く、篠原の里を正式な避難場所として使えるようになるわけだ。

 多分、日本全国に、似たような事例は多いのだろうな。避難場所として使いたい大型の建物があっても、それが土砂災害の危険性のある指定地域なんてことは。

 ミズヒキが花を咲かせ、彼岸花も出始めた。しかし、とても初秋とは思えない暑さが続いている。日差しの強さも、空気そのものが持っている熱気にも、異様な力強さがあって、とても日本の秋とは思えない。

 最近、気になる事の一つに、気象庁とか、気象に関わる人々が、普通に「温暖化の影響」であると言い始めたことがある。これまで、いかに異常気象があって気候変動の疑いが見られても、気象の専門家がマスコミなどで話をする際は、「気象は様々な要因が複雑に作用しているので、すぐに温顔化の影響と断じる事はできない」といった表現に留めていた。それが今年になって、「温顔化の影響は否定できない」といった表現を堂々と使うようになってきた。

 もはや目の前の現実があからさまに雄弁に語り始めて、取り繕う事もできなくなって、開き直ったかのように追認したようにも見える。まあこれは私の意地悪な見方かもしれない。責任ある立場の人たちが、あくまでも科学的な立場で発言をしてきた結果かもしれない。

 ただ兎に角、これからは温暖化や気候変動の進行を前提とした論調が、普通に展開される世の中になっていくのだろう。

 このことは、ちょっと悲しくなる。結局人間は、未来に起こりうる危険を予測しながらも、危機が現実のものになるまで直視しようとはしない生き物なのかもしれない。

 前回の日記で、篠原地区で行われた防災訓練で住民同士の話し合いが行われたことについて書いた。その中で、真夏の暑い盛りに災害が発生した時に、高齢者や病人など、体の弱い人々に暑さを避ける方法はあるのか、という事についても書いた。その時には、涼しいトンネルにでも逃げたらづか、みたいなアホな事も書いたのだけど。

 ただ、地中の涼しさを利用する考えは昔からある。クールチューブとかヒートチューブとかアースチューブといった言葉で検索すると出てくるけれど、地中に中空の管を埋設して空気を流し、地中の温度を使って、冬は暖かく、夏は涼しい環境を作ろうと言うもの。地中も深さが5~10メートルにもなると、地中の温度は16度程度で一年中安定している。

 この温度を取り込めば、夏は涼しく、冬は暖かい空調として使えるし、実際に使用している建物は既に多い。地下10メートルとなると一般の住宅には難しくなるけれど、もっと浅い地下に埋め込むものもある。

 すべての住宅に、このような設備を組み込むことは難しいとは思うけれど、避難場所に指定しているような建物には、こういった設備を導入してもいいかと思う。すべての部屋を賄うのは無理だとしても、高齢者や病人が避難する部屋だけでも、そんな暑さのための避難所を作ってもいいのではないか。何しろ、近年の夏の暑さは、下手すれば命に関わる領域に進んでいる。エアコンが使えなくても涼しさを維持できる設備があれば、心強いだろう。

 この設備、懸念点もある。地下に通したチューブに空気を流していると、チューブの中に結露が発生し、さらにはカビも増殖して、いくら涼しくても不快で不衛生な風をよこしてくる問題だ。これは以前から言われている。

 ただ、山里の場合、どうだろう。山は斜面になっているので、地下深くへとチューブの伸ばすのではなく、斜面に対して水平方向にチューブの伸ばしても、自然と地下5~10メートルの深さになるのではなかろうか。その場合なら、チューブの中の結露の排水も、少しは楽になるかもしれない。

 まあ、素人考えですが。

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