2023年 12月3日

 師走に入る。この時期になると、山の木々も,風が無くても雨のように葉を落とす。風が吹けば吹雪のように葉を落とす。そして道路の脇に溜まった葉っぱを、堆肥にするために袋に詰め込んで運んでいく人々が現れる。葉っぱの中でも葉を落とすのが遅い桐や桑も落とし始めた。こうなると、山が冬景色になるのもそう先ではない。既に丹沢の山々も、中腹より上は冬に入った。

 最近見た記事で興味深かったのがある。ネットの記事なので、しばらくするとリンク先から消えてしまうと思うけれど。

鉄筋ならぬ竹筋コンクリ実用化へ 福島・南会津の水路にU字溝設置

 鉄筋ではなく竹を使ったコンクリートの研究と、実用化に向けた取り組みがあるらしい。これまでの実験では、竹を使ったコンクリートでも十分な強度と耐久性がある事が分かったようだ。更に実証実験をするために、福島県で竹を使ったコンクリートによるU字溝を作り、設置してみた。これから、実際に使ってみての耐久性を調べたり、予想外の問題点が出ないか確認していくのだろう。

 この竹を使ったコンクリート、元来は戦時中の原料不足の時代の産物なのだとか。そういわれると、いかにも戦時中の発想らしい。ただ、竹と言うと弱弱しい感じだけど、ケブラー材のような強靭な炭素繊維もあるから、やりようによっては意外と使えるのかもしれない。

 こういうのって、個人で勝手にやっていいのかな。例えば、駐車場とか、自宅の敷地でコンクリートで舗装する時に竹を使うとか。土壁の竹小舞みたいに竹を組んで、そこにコンクリートを埋め込んで壁を作るとか。まあ、まだ役場の建築許可はおりないんだろうな。

 ただ、ある程度、竹でも大丈夫なんじゃないか、という認識が世の中に浸透していったら、じゃあDIYでの個人的な工作程度なら、どんどん竹を使っちゃえ、という流れにもなるかもしれない。

 と、いうのもですね、例えばDIYでウッドデッキでも作ろうかと考えたとしますね。そして近場のホームセンターとかに買い物に出かけます。そこで、意外に高額になった木材の価格に驚いたりする。まあ木材に限らず、食料品でも石油のような燃料でも、すべてが値上がりしている時代。そんなご時世なら、近場にタダであるものを使っちゃえばいいんじゃないか、という誘惑は、すごく大きくなると思う。もちろん、ビルの建築とかトンネル工事とか、人命にかかわるプロの現場なら、そう簡単に「竹を使っちゃえ」なんて事にはならないと思うけれど、日曜大工程度ならね。

 これと似た想像を膨らませると、一坪程度の小さな物置を作る際、屋根を葺くのに、既製品のスレートとか瓦とかガルバリウム鋼板とかアスファルト材とかではなく、桧の皮を使っちゃえ、という人も出て来るんじゃなかろうか。

 勿論、歴史的建造物の修復とかに使われる檜皮葺なんかは、単なる「桧の皮を使っちゃえ」なんていい加減なものではないだろう。素人には想像もつかない、深い経験と技術の蓄積があるのだと思う。

 ただ、物価高の時代になればなるほど、その辺の近所にただで転がっているものを使おう、という動きは出てくるはずだ。

 最近、そういった事を考える事が多い。物価高に悩む時期も、そこから更に物価高が深刻さを増していくと、買うよりも他の手段で何とかできないか、と考えたり行動を起こす人たちが現れて来るのではないか。

 これは全くの違法だけど、たばこの値上がりがつらいのなら、いっそ自分でたばこの葉っぱの栽培からやってしまおう、なんて人が現れやしないか。値上げって、行き着く所まで行きつくと、買うよりも他の手段に人が流れてしまう。終戦直後、食料の配給に頼らずにヤミの食料の獲得に人々が動いたように。

 ここまで書いた事柄は、まだ冗談みたいな絵空事みたいだけど、世界全体で見てみると、それに近い流れは始まっているのではないかと思う。これまでは、何でも海外の安い品を買えばいいという事でやってきたが、買うくらいなら自前でなんとかしようという品目も、これから増えていくんじゃないかな。

 家の補修を自分でやってしまうような猛者もいるけれど、そういう人たちが家の外壁をするのに、既製品のサイディングを使うのではなく、焼き杉を使うことがある。杉の板を少し焼いて炭化させて、その板で家を覆うやり方だが。

 人によっては、「そんな手間ひまを使うよりも、既製品を使った方が簡単だし安くつくぞ。」と思うだろう。実際、そうかもしれない。

 でも、徐々に、「そうとも言えない」という事例も、増えて行く時期に来ているのだと思う。

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