2023年 7月2日

 梅雨らしい天気が続く。日本全国各地で、水害を引き起こすような集中豪雨が起こっているらしい。私が住む関東南部も、時折、ざあっと雨が降り注ぐ事もあるけれど、これまでの所、水害を起こすような雨にはなっていない。むしろ、このところは晴れる事もあって、強烈な蒸し暑さが押し寄せてきている。うっかり梅雨明けかと勘違いしそうだけど、普通は梅雨明けって7月も中旬以降だよな。

 梅雨の晴れ間、沸き上がる雲の向こうに顔をのぞかせた富士山には、まだわずかに残雪があった。季節は一気に夏本番らしくなってきている。野原にはヤブカンゾウの朱色の花が咲き始め、ネムの花も開いて来た。

 今年も、大雨による水害については警戒している。最近は妙に地震も多いようなので、こちらにも用心が必要になって来る。そんな中、篠原牧馬自治会で行われている「自主防災組織」に、組織の形を変更する動きがあった。

 自主防災組織は、相模原市が地域の自治会に対して組織の運営を指示しているもので、災害時に自治会単位で災害に対処できるように運営している。例えば、災害時に住民の安否確認とか、緊急時の炊き出しとか、自主的にできるような仕組みを心がけている。

 ただ、ここへきて、篠原牧馬地区の自治会で自主防災組織の仕組みの変更を考えたのは、これまでの組織の在り方が、あまり実情に合ってなかった事が大きい。これまでの自主防災組織では、篠原牧馬自治会の4つの地区から、それぞれ5人ずつ選出して、その5人に「情報連絡班」「初期消火班」「救出救護班」「避難誘導班」「給食給水班」の班に分かれてもらって、それぞれの班の活動をする・・・というものだった。

 個人的には、この自主防災組織が始まってこの組織の形態を聴いたときに、これは上手くいかないと思った。自治会の人間なんて、特に防災訓練に熟達した専門家じゃない。いつもはごく普通の生活をしている普通の人だ。そんな人々が、いざ災害時になったからといって、いきなり「情報連絡」だとか「初期消火」だとか「救出救護」といった活動が出来るはずがない。実際、数年前の台風19号で被災した時も、このような組織の形は名前はあっても実際にはほとんど名前通りの効力は持たなかった。

 そこで今回は、組織の形をもっと単純化している。篠原牧馬自治会の4つの地区から、それぞれ2名を選出してもらう。その2名には、前述したような班わけはせず、災害時には応急対策を必要に応じて弾力的に行うことになる。私としても、変に役割を固定化するよりも、災害時の現場に合わせて融通をきかせられるような仕組みの方が良いと思う。

 一つ、ちょっと役割の固定化に関わる事と言ったら、各地区から出す2名の内、1名は女性にしてくれないか、という注文があった。被災して炊き出しが必要になった時、女性の存在が重要になるからだと言う。実際、台風19号の時は、食事の提供の問題はかなり大きかった。

 まあこんなふうにして、最初は現実に即さない机上の空論っぽかった組織も、実際に災害の洗礼を受けるに従って、徐々に現実に即した形に変容していくのだろう。今回変わった自主防災組織だって、また次の災害に直面した時には(もちろん、そんな時は来ない方がいいのだが)、また新たな改良点が見つかって来るのだろう。そして、徐々に組織に実際の血が通い、肉が付いてくる。

 初期の自主防災組織の形を「机上の空論」と悪し様に書いてしまったが、しかし、これなこれで役割はあったとは認める。どんな組織だって、最初は実際に効力を発揮できるか未知数な「たたきだい」から始まるものだ。

 篠原牧馬自治会は、100世帯もない小さな組織だし、高齢者の数も多い。当然、災害時に動かせる人員の数だって限定される。そんな条件の中で、効果的に住民の力を発揮できる仕組みを作る試行錯誤は、これからも続いていく事だろう。

 この自主防災組織の事でも思うのだけど、組織の立ち上げの時は、できるだけ、その組織の形は単純で分かりやすく、あまりガチガチに組織を細かく決めずに、おおらかに融通を利かせる余地を持たせた方がいいみたいだ。

 あまりにも形ばかりで実の無い組織にしてしまうと、組織の形を維持する努力だけで力尽きてしまい、失速しかねない。今回の自主防災組織の簡略化は、組織を少し正常な方向に持出したものだと私は思っている。

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