この季節にしては本格的な台風が、日本列島の南を西から東へと通り抜けて行った。台風そのものの直撃は無かったが、梅雨前線を刺激して、九州から関東にかけて大雨を降らせた。
藤野は数年前の台風19号では土砂崩れを起こして死傷者も出す「被災地」になっている。あれ以来、大雨が降る度に「どこか被害が出なければいいが」と心配になるようになった。実際、今回の大雨は十分に心配させるような降り方をした。
金曜日は朝から本格的な雨が降り、夕方になると、それこそ「車軸を流すような」という表現がぴったりくるような大雨が降りだし、この雨は強弱を繰り返しながら深夜まで続いた。あちこちの沢で水があふれ、道路を川のように流れている所もあった。意外だったのが、今回の大雨では台風の影響とは言え、大雨は降っても強風は吹かなかった。それでも、道路には枝が多数散乱していた。激しい雨でも枝って落ちるものなのだろうか。
翌日の土曜日の朝、この日は雨の勢いこそ落ち着いてたけれど、雨自体は昼頃まで続いた。そんな中、あちこちから「ここが崩れているぞ」と連絡が入り始めたのだろう。市からの要請を受けて、地元の業者が崩れた箇所で、土砂を取り除く作業があった。幸い、家を壊すような土砂崩れは無かったようだけど、道路に土砂をなだれ込ませるような小規模な崩れは各地であったようだ。
・・・というか、そういう小規模な崩れがほかならぬ牧馬で起こった。一番上の写真は牧馬の道路のもので、道路を半分ほど土砂が塞いだ。早朝から近隣の業者が土砂の取り除き作業をしてくれていた。以前の台風19号ほどではなかったものの、今回の大雨でも無傷ではすまなかったということか。
それにしても、迅速に土砂の取り除きに駆けつけてくれたものだと思う。こういう事例に出くわすたびに、やはり山里には、地元密着型の、重機を扱える業者が各地にある事が望ましいなと痛感する。こういった業者は冬の積雪の時の除雪にも活躍するのだが。
山里はどうしても地形的な問題で、絶えず土砂の問題に直面しざるを得ない。そんな時、地元密着型で、その地域の実情をよく理解している業者が対応してくれるのは、とても心強いものがある。
世の中なんでもグローバル化ばっかりで、企業も大規模化しか正義はないような時期が続いているけれど、その地域の人の暮らしとか、人の命がかかわる事には、小規模な地元密着型の企業の方が向いていると思う。
私の印象では、集落に一つくらいは土砂の作業に使える機械があって、それを扱える人が何人か普通にいるのが理想なんだけど。
それにしてもなぁ、今回の大雨でも盛んに報じられたけれど、「線状降水帯」と言う言葉が普通に使われるようになったね。何年か前には、それほど使われる言葉ではなかったと思う。この言葉の初出はいつ頃なんだろうか。・・・そんな事を考えながら検索してみたら、ほとんど答えをくれるようなページがあった。
線状降水帯とは?定義や特徴、メカニズム、予報システムについて解説
このページを読むと、研究者の間ではもっと以前から使われていた言葉かもしれないが、一般に広く使われるようになったのは、2014年の広島県の集中豪雨被害がきっかけらしい。
それにしてもこの線状降水帯って、その線上だけを、まるで親の仇のように集中して雨を降らせていじめ抜くような現象に見える。普通、雨は雨雲と一緒に西から東へと流れて行って、どんな豪雨もじきに東へと流れ行くものと思っていたのが、いつまでたっても、その線上では雲が湧いては雨を降らせ続ける。
こういう現象って、昔からあった事なのだろうか。それとも、近年になって顕著になってきた事なのだろうか。世界各地の学者が、地球の気象は未知の領域に入ったと警鐘を鳴らしているが、そういう現象の現れなのかな。
このことは、時々ここで書いているけれど、数年おきに災害級の大雨が降るのが普通になり、毎年のように日本のどこかで水害に見舞われるのが普通になりつつある。なんだか水害だけでも、毎年日本のどこかが戦争で爆撃を受けているみたいだ。
やっぱり、旧来の気候に比べて、異次元の領域に入っているという学者の意見は、正しいんじゃなかろうか。それに対して、真正面からの対策は、まだ本格化はしていない。
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