2023年 5月28日

 この週は割合に晴れが続いたが、次の週はほとんと雨が続くらしい。だんだん梅雨の気配が近づいているのだろう。朝晩は少し寒いくらいで、小さな電気ストーブが欲しいと思うことがある。

 例年、この時期には、住民が総出になって道路のゴミを拾う日がある。「ゴミゼロ」の語呂をかけて、5月30日に近い日曜日に、その行事をもうけているのだ。ただ今年は事情があって、そのゴミ拾いは自治会の一部の人と地域の団体の一つがやって、住民総出の作業にはならなかった。

 ただ牧馬地区では、この際に懸案だった作業をやっておこうと言う事になった。それは、毎年、夏のお祭りの時にお神輿を保管している小屋の前で宴会があるのだけど、その小屋へと坂道を上る道が、一部崩れて上りにくくなっているのを補修しようというもの。幸い、腕に覚えのある住民が多く、また重機を持ってきた人もいて、資材を提供する人もいて、なかなかしっかりとした補修ができた。石の板を組んで土留めをして、崩れかけた斜面には芝生を敷いた(この芝生も住民の提供)。

 明日から雨が続くと言うから、芝の根が良く着いてくれるのではなかろうか。

 これで、この坂道も、足の弱いお年寄りでも登れるようになった。

 こんな作業が出来るのも、案外、牧馬の住民の平均年齢が低くなっているからでもある。昔からこの地域に住んでいる方々が高齢化して亡くなったり施設にいったりして姿を消して、今では山里の暮らしを積極的に楽しむような若い世代の移住者の方が、すっと数が増えた。こういう住民の数が多いと、今回のような作業をやろうと提案しても、わりと気安く賛成してくれて、簡単に実行できることが多い。お年寄りが多いと、なかなか「こういった作業をやりましょう」と言い出しにくい雰囲気になるんだよなぁ。

 これはちょっと、牧馬の話から外れて日本全体の話になって来るけれど、これから高齢化社会を迎えて、人口の多くの割合を高齢者が占めるようになると、その地域を支配する空気を変わって来るはずだ。

 例えば、社員の多くが20代、30代、40代の人間が占める会社の雰囲気と、50代、60代、70代が占める会社の雰囲気では、それは全然別者だろう。前者は経営者から従業員に至るまで進取の気性に富み、挑戦的で、楽観的な明るさがあるだろう。後者になると、経営者から従業員に至るまで、何か新しい事をしようとするよりは、冒険を避けて現状維持に努めるようになってくる。

 こんな現象が、国全体で進んでいくのかもしれないし、実はすでにそうなっているのかもしれない。

 もう一つ、ちょっと心配なのが、住民の平均年齢が高くなっていくに従って、生きることに対して悲観的な空気が蔓延していくのではないか。人口の大半が、自身の身体や精神の衰えを感じつつ、出来る事よりも出来ないことが増えて行き、新しい事への挑戦よりも過去を懐かしむ感情の方が強くなっていく。

 私はあまりテレビを見る方じゃないけれど、いつのまにか、テレビで通販の番組が流れると、まあほとんどが高齢者向けの商品の紹介で、体の不具合を補助するものばかりだ。

 もちろん、こういった商品が必要なのは判っているし、私だって遠からず必要になる。ただ、テレビから流れる情報が、衰退していく心身に関わる事で占められる社会って、それは何か問題があるんじゃないかと思う。

 一つ提案することがあるとしたら、年配者になっても、年配者なりの心を湧き立たせる趣味を持つべきなんじゃないか。例えば釣りを趣味にしたら、次はあの川へ行ってみよう、あの海へいってみよう、あの竿を買ってみようと、年を重ねても夢が膨らんでいく。

 趣味や娯楽、文化を牽引するような存在に高齢者がなるのならば、世の中の空気はだいぶ明るく前向きに変わっていくと思うのだけど。

 こういった話は、高齢者になってからでは遅いのだろう。まだ溌溂とした元気がある内に、生涯楽しめる趣味を見つけるくらいじゃないと難しいかもしれない。

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