この冬最初の雪が金曜日に降ったわけだが、わずかに地表を覆う程度で、これでは積雪という言葉も相応しくない。ただ、1月の雪は3月まで残る。空気も地表もまだまだ低温が続くので、1月の雪は、山の北斜面のような日陰の部分では、かなり長く解けずに残るのだ。とはいえ、この程度の雪なら、すぐに消えちゃうかな。
気象庁は「10年に1度の寒波が来る」と警戒を呼び掛けた。確かに火曜日の夕方から、季節風と共に肌がピリピリするような寒気が降りてきて、牧馬の土地そのものが冷蔵庫に放り込まれたような寒さにはなった。実際この寒波では、場所によっては観測史上最高の低温を記録したところもあったという。
ただ、私の実感としては、確かに10年に1度の寒波かもしれない、しかし、20年前だったら珍しくなかった低温だし、30年前ならこれが普通だったんじゃなかったかと思う。それともこれって、私が子供の頃はもっと寒かったという思い込みが、そんな気持ちにさせているのかな。
事実として、この寒波で藤野でも影響はあった。水道管が凍ったという話はまだましで、凍結したせいで水道管が破裂した所も多くあったらしい。修理業者はこの時期、てんてこまいだろう。
この寒波でも、道路の交通が止まってしまった所があったという。電車が止まった所もあったとか。こんなふうに車が雪道で動けなくなったりした時に、近年になってよく言われるのは、「やはり電気自動車は雪道には危険ではないか」という話。従来の内燃機関の車だったら、たえず石油を燃やしているようなものなので、基本的にエンジンをつけている間は暖房も出来る。
この点、電気自動車は暖房に電気を使う。車に搭載された電池の電気を暖房目的に使うので、当然、車は動かなくても電池はどんどん減っていく。この、車内の暖房目的の電気の使用量はなかなか馬鹿にできなくて、電池が十分に充電されている状態だったら、あと150キロは走れると考えていても、暖房をフルに使うと、もっと早く電池が切れてしまうとか。
そう考えると、雪国や北国には、電気自動車は相性が悪いのかな、という印象にもなる。案外、雪国や北国での使用目的なら、内燃機関の車も生き残っていくのかな、なんて事も考える。
もっとも、逆にこうも考える。確かに内燃機関の車は石油を燃やしながら動いているので熱には不自由しないかもしれない。しかし積雪によって動きが停められ、車の周りが雪だらけになった場合、エンジンをつけたまま車内にいると生命の危険にさらされる。排気ガスが車内に入ってきて中毒を起こすからだ。
この点、電気自動車なら、いくら暖房を使っても有毒な排気ガスは出ない。その意味では、雪に閉じ込められても安全な車と言える。暖房の使用による電池切れの問題も、念の為に車内に耐寒性の高い寝袋を常備するとか、暖の取り方も、数百ワットの電気を使うエアコンではなく、数十ワット程度の電気を使う電気毛布を使えば、電池切れまでの時間もだいぶ稼げることになる。
あと、車が雪で動けなくなった時、非常事態の特例として、近くの電線から電気の供給を仰ぐ事も可能にする方法もあるだろう。ここまでくると、逆に内燃機関の車よりも電気自動車の方が、雪の災害時でも強みを発揮し始める。電線に電気が来なくなるような、停電が無ければの話だが。
世界の潮流として、これからの自動車はどうなっていくのか、今でも不透明な所が大きい。一気に電気自動車になって内燃機関の車は簡単に駆逐されるという見方もあれば、案外しぶとく内燃機関の車も使われ続けるという考えもある。私としても、どっちが正解かは判らないし、確信の持てる予想もできない。
ただ、電気自動車は雪や低温に弱い、と決めるのは、ちょっと結論を急ぎ過ぎていると思う。電気自動車ならではの、内燃機関の車にはない雪や寒さに対する強みと言うものも、あるのではないか。
かつて写真がフィルムからデジタルに移行し始めた時、極地での撮影にはデジタルカメラなんて使えない、という意見があった。どうしても電気の使用が不可欠なデジタルカメラに対して、機械式シャッターとフィルムの組み合わせのカメラなら、まったく電池を使わなくても写真は撮れる、というのが強みだと。
でも一方で、デジタルカメラだったら、通信回線がある所なら、撮ったばかりの画像をそのままその場で、必要とされるところに転送することも出来る。フィルムを送り届ける必要はない。真に極限状態で必要とされる撮影手段は、そういうものだったのではないか。
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