2022年 10月9日

 それにしても、今年は雨が途切れない。2~3日は晴れや曇りがあっても、すぐに雨が降る。この週もそんな感じで、それもなかなかの降りだった。谷間の沢の水量もけっこう増えている。

 9月もそうだったけれど、この10月の連休も雨に降られたなぁ。もっと秋って、すがすがしい青空が似合う季節ではなかったか。さすがにストーブに火をつけるくらいに寒い日が出るようになったけれど、この湿気の多さはちょっと記憶にない。

 篠原の集落全体を会場にした「ぐるっと篠原展」だけど、けっこうお客が来ている。疫病の影響で4年ぶりの開催だけど、こんな小さな山里の素朴なお祭りの再開を、楽しみにしていた人も多かったのだと思う。

 私自身、地域のイベントの手伝いとかをしてきて、それなりの月日が経つけれど、こういった地域のイベントが上手く行くことって、実はけっこう難しい。企画してやってはみたが、なかなか人が集まらず、参加者も増えず、回を重ねるごとに規模が縮小し、熱意も低下して、下火になって自然消滅するものの方が多いくらいだろう。

 お祭りを企画して、そこに参加者が集まって、お客も集まって、持続していくというのは、何か上手くいく要因があるんだろうな。持続するためにもいろいろと条件が合って、その一つに、お祭りから離れる人がいるのと同じくらい、新たに参加する人がいることがある。

 お祭りだって5年とか10年とか続けると、参加者の中にも高齢で退く人とか、別の場所に引っ越す人も出てくる。その抜けた穴を補充する人が、次々とやってくるようなお祭りなら、持続も可能だろう。初期の参加者だけで、その後の参加者が続かない場合だと、そうはいかない。

 なんか、その「場」が、人を集める場である必要があるみたいなんだな。

 この、人を集める「場」の魅力とか、力の源泉はなんだろうというのは、これからの世の中では、けっこう重要になってくると思う。小さなイベントのような組織から、企業もそうだし宗教団体もそうだし、国だってそうだろう。人が次々と集まって魅力を発揮して力をつけて行く所もあれば、紅茶に入れた角砂糖のように、ぽろぽろと崩れながら消滅していく所もあるはずだ。

 人を「集める」力があるかどうかというのは、それだけ恐ろしい結果を招く。

 これまでの世界は、人口が増える世界だった。それは、ある程度、人を粗末にしてもいい世界だったとも言える。「お前の替わりならいくらでもいるんだぞ」なんて言葉が代表するように。

 ただこれからとなると、どうだろう。日本はすでに人口減少社会が始まっているし、実は世界全体で見ても、21世紀中にそのような世の中が始まろうとしている。人を粗末にしない組織、人が自然に集まり続ける「場」、そういった考えが重要になる時期が、そろそろ見えてきているのではないか。

 まあ、今の世の中を見ていると、相変わらず人を粗末にしてもいい、という考えのまま活動を続けている人や組織も多いけどね。私のように、人がどんどん減っていく寒村で、どうやって地域を維持していくかで頭を悩ませている身にとっては、なんとかして人を集める「場」を作っていきたいと言う願望は、ずっと昔から切実だった。

 大都市に住んでいる人なら、これまで考えもしなかった事柄かもしれないけれど、これからは、たとえ大都市に住んでいる人にとっても、無視できない課題になっていくと思う。

 人口減少社会なんて言うと、不幸な香りしかしないが、人が集まる「場」を大切に作っていこうと人々が考える世の中というのは、案外、愛情に満ちた世の中なのではないか、とも思う。

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