2022年 4月10日

 山はいよいよ芽吹きの時を迎えた。花冷えの寒さもあったが、この土日は汗ばむような陽気になって、これから屋外で力仕事をするときには汗を拭くタオルが必要になるかな。地表も緑が増えて、あとひと月もすれば最初の草刈りをすることになるだろう。その前に連休があるけれど、今年はどんな感じかな。あいかわらずキャンプ場は賑わっているみたいだけど、疫病の影響は行楽の客の数に、どんな作用をもたらすか。

 この地域の観光について思うことがある。相模原市は、あまり観光の進展に積極的ではない。基本的に、東京への通勤する住民が大半なので、あえて地場産業を振興させる動機や意欲が少ない傾向がある。まあこれは、東京に「依存できる」という意味で、恵まれているとも言えるわけだが。

 世の中には、大都市の通勤圏になりえない山里あって、そういう所は、何としてでも自分の地域から金のなる木を育てないと、自治体が消滅しかねない。そういった危機感には、相模原市は乏しいようだ。

 ただその一方、相模原市に吸収合併された旧津久井郡の四つの町は、いずれも山里で、現代の山里らしい課題を抱えている。人口の減少はその最たるものだ。

 産業が無い、働き口が無いとなれば、若者は出ていくしかない。もちろん人口が増える道理が無い。じゃあ山里らしい産業の振興の一つとして、観光はどうだろうと考えるのだけど、前述の通り、相模原市はそこに強い熱意は無い。

 そうこうしている内に人口は更に少なくなり、小学校や中学校、保育施設は統廃合されて数を失い、路線バスも縮小や廃止が検討され始める。そうなるとますます住みにくい地域になり、ますます人口が減っていく。そんな陰気な悪循環を留めるすべが無い。

 こんな事を考える。 四国の山奥にわりと簡単に作れるモノレールで行楽客を集めている事例があるそうだが。こんな記事で雰囲気は伝わると思う。こういった乗り物でも作って、旧津久井町の青根あたりから北丹沢の姫次あたりまで登れたら、北丹沢に関心を持ってくれる人も増えるんじゃなかろうか。

 かつては藤野の駅から青根に向かうバスもあったが今は無い。今は三ヶ木からのバスがあるけれど、これもすっかり本数を減らしている。でも、そこに向かう行楽の客が増えれば、バスの営業も良くなるんじゃなかろうか。人口を一気に増やすのは難しいが、行楽地を振興させて交流人口を増やす事なら、そこまでは難しくはないだろう。

 たぶん、相模原市の市民のほとんどは自覚していないだろう。相模原市に神奈川県の最高峰の山があるなんてことは。

 すぐ近くの高尾山の年間の観光客は300万人という話だが、その1割とは言わぬ、1パーセントでも北丹沢に来てくれたら、それだけでもだいぶ雰囲気が変わって来ると思うんだけどな。

 批判はあると思う。そんなモノレールなんか作って安易に山に来れるようになると、平気でごみを捨てたり、未熟な装備で遊び半分で山に来る人間が増える。山は静けさを求めて登るものであって、都会の喧騒を持ち込むものではない。

 私自身は、こういう考えを持つ人には敬意を払っているし、尊重しなければならないと思っている。だからまあ、下品にならない範囲で、地域に賑わいを戻す程度の観光の振興はできないかなぁ、というのが私の考えで、そこに難しいさじ加減が必要なのもわかる。

 モノレールは一案として、旧津久井郡の山里に、人々を感動させられるような何かが出来れば、いいんですけどねぇ。ちなみに例に挙げた四国のモノレール、今は休業中だそうで、なにかあったのかな。はやり疫病の影響だろうか。

 相模原市は観光の振興に熱意が無いと書いたが、じゃあ地元の旧津久井郡には熱意があるかと言えば、確かに熱意がある人もいるけれど、決して主流ではない。やはり山里といっても、藤野だって東京に通勤できる範囲内だし、わざわざ地元に産業を興そうと考える人となると、まだまだ少ない。

 まだ時は至ってないのだろう。でも、観光に限らず、農業とか製造業とか、もう一度、地場産業からやり直さなければならない時代は、遠からず来ると思うのだけど。

0コメント

  • 1000 / 1000