2021年 10月31日

 牧馬の小さな道で工事が始まっている。車が1台通るだけでも精いっぱいの細道だが、舗装のコンクリートが割れて道路の中央に段が出来る状態になってしまったので、舗装をいったん除去して、新たにコンクリートの舗装をしなおす。

 どんな道路も、長年に渡って使ってくれば劣化も避けられない。かつては道路工事と言えば、傷んでもいない道路をわざわざ工事を行う、無駄な公共事業の代名詞的存在だったが、最近はそうでもなさそうで、むしろ、「前から工事をお願いしてきたけれど、ようやく始めてくれたか」という事も多い。

 先週は木枯らしが吹き、落葉が始まった。風が吹くと雪のように枯れ葉が舞い降りてくる。山も徐々に色付いてきた。ただ今年の紅葉は、あまり綺麗な感じがしない。色付くよりも前に、山全体が色あせていくように見える。雨が多い気候が影響しているのか、それとも、ナラ枯れの被害が目に見える形で現れて来ているのか。

 ナラ枯れの被害は、一度始まると、もはや人間の手では収拾がつかないと思う。それだけ山は広大で、人の手で虫が喰った木を一本一本治療するなんて事は不可能だろう。

 なんでこんな現象が起きるのかは解らない。一つ想像できるのは、2~30年前に比べて、気候が明らかに変わってきている事があるかもしれない。気候の変化によって、従来の植層にとって生存が苦手な環境になってナラの抵抗力が弱まり、害虫の存在に有利に働く状況ができたのかもしれない。

 じゃあ南方系の植層に遷移すれば、また山の環境は安定するのかと言えば、そうかもしれないけれど、遷移の速さよりも環境が壊れる速さの方が速そうだ。山の木が一斉に枯れて、山崩れが起きやすい状況にならなければいいが。

 心配の種は次から次から途切れることが無い。

 遷移・・・移り変わると言えば、東京都って、毎月のように、数千人規模で人口を減らしているらしいね。勿論、人口1400万人の東京都にしてみれば、毎月数千人の減少と言っても、微々たるものなのだろうけれど。

 人口の少ない山里に住んでいる身とすれば、凄い現象が起こっているんだなぁという印象が強い。

 新型肺炎の流行の影響もあって、在宅での仕事も一般化して、何も都心の会社に通わなくてもいいんじゃないか、と思える環境が整いだして、じゃあいっそ都心から離れた郊外に住もうかと言う人が増えた・・・のが原因なのでしょうね。

 山の木が枯れていくのは困った現象だけれど、都会から人が出ていくのは、必ずしも困った現象というわけではないだろう。むしろ、何が人間的な生き方なのか、何が人間にとって理想的な暮らし方なのかを考えた場合、都会から人が離れていく現象を、肯定的に捉えてもいいと思う。

 考えてみれば、キャンプブームが始まったのもここ数年だけれど(この土日も道志川沿いのキャンプ場は賑わっていた)、こういったキャンプの流行も、どこかで、都心からの脱出と、関係があるのかもしれないな。

 さらに残る問題は、都心で人口減少が進んでいる一方で、地方では、それをもっと上回る勢いで人口減少が進んでいるという事。都会から地方に移住する人を計算に入れても、地方の衰退に歯止めがかからない。

 人口をどうやって増やしていくのか、いや、増やせずとも、どうやって人口を維持していくのか、この問題はなかなか解決の糸口が見えない。

 というか、本気でこの問題を取り組もうという気風は、政治の場で現れることはなかったように思う。人口が増えやすい世の中を作る努力なんて、してこなかったでしょ。

 山から木が消えていくのと同様に、なすすべもなく人口が減るのを傍観するしかないのか、人間の努力で何とかできるのか。まだ反転の機運は見えてきていないと思う。

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