2021年 7月11日

 梅雨は続いている。雨が多い日々だが、梅雨前線は関東より北へ位置を動かし、南からの蒸し暑い空気が流れ込む様になって来た。雨の降り方も、これまでのような、しとしとと静かに降る感じではなく、時には雷を鳴らしながら荒っぽい雨を降らす様になった。こういった雨が降るようになれば、梅雨明けもそろそろだろう。天気予報でも、次の週の中頃には梅雨明けになるのではないかと言っている。

 梅雨明け直後の晴天は特に身体にこたえる。それまで梅雨寒の冷涼な気候だったのが、強烈な夏の暑さと湿度に押しつぶされそうになるのだ。昨日の火曜日は雨上がりの晴天だったが、地域の行事で草刈りに参加したけれど、滝のような汗をかいて気分が悪くなった。少しずつ、体を夏に合わせていかなければならないな。熱中症の心配をしなければならない季節でもある。

 山の人間が草刈り機持参で集まって、一斉に草刈りをすると、休憩時間とかで草刈り機談義になる事がある。どこの店で買った刃が切れ味が良いとか、どのメーカーのナイロンコードが良いとか。最近では、電動式の草刈り機の話題も多い。電動式も今では評価も上がって来て、普通に使える様になって来た。自分が昔、試しに使っていた電動式の草刈り機は、あまり使い物にならない感じだったけどな。

 自動車と同様に、いずれ、すべての草刈り機も電動になるのかな。

 熱海で発生した土砂災害の原因として、盛土が取りざたされて来た。報道が流す情報では「盛土」と言っているけれど、写真を見てみると残土処分場だね。ただ、「残土処分場」と言わない理由もなんとなく想像できる。多くの場合、業者が「ここに残土処分場を作ります」と言う事は稀で、たいがいは、「農地を改良して農場にするため」とか「住宅や工場を造るため」とか「墓地や公園を作るため」とか「一時的な建設資材の仮置き場にするため」とか、ありとあらゆる別の理由で残土処分場を作ろうとする。酷い場合は、土砂崩れが発生した場所に「土砂崩れを二度と発生させない為の補修工事をするため」という理由で残土を持ち込もうとするケースもあった。

 そして多くの場合、それらのもっともらしい理由は達成されない。やりたいほうだいに残土を放り込み、崩れないような設備も講じないまま、自ら会社をつぶしてしまう。その後で残土処分場で何か問題が発生しても、もはやその責任を取る組織も人もいない。まあ結局、同じような人間や組織が、同じような会社を作って同じような事を新たに繰り返すわけだが。

 最近でこそ、そこまで悪質な業者は減って来たが、過去数十年に渡って、そのような悪質な業者が行って来た残土処分場が全国各地にあり、私が棲む藤野にもある。今後、気候変動などで今までに経験した事が無いような大雨が降るとなると、今後も、全国各地で熱海と似たような災害が起こるかもしれないな。

 おまけに、そのような悪質な業者が関わった残土処分場は、たいてい、こっそりと残土以外のものが埋められている。そもそもが、やりたい放題の事をやってしまえという気質の業者のする事だから、ゴミでも何でも埋めてしまって儲けてしまえ、という流れになる。土砂災害で残土処分場が崩落するような事件が起こる場合、産廃も土砂の中から現れるのは普通だ。

 建築廃材でも、アスベストなんかは正しい手段で処理するのにはお金がかかる。日本人の大半が知らないうちに、全国の山野で、危険な物質が残土とともに埋められて来た。

 なんでこんな事が放置されて来たのかと疑問を持つ人もいるかもしれない。いろいろと理由はあるとは思うけれど、最大の理由は、民衆の大半が、残土で山や谷が埋まって行く事に関心が無かったということだろう。これは原発とか、ゴミの最終処分場とかにも言える事で、自分の目の届かない所で起こっている事は、自ら関心を持とうとはしない。それでいて、電気は使うしゴミは捨てる。面倒なものは、山とか海とか、見えない所へ持って行って捨ててしまえ、という気持ちは、日本人の平均として確かにあるのだろう。

 まあただ、今回の熱海の事件で、さすがに、住宅地の真上や上流に残土処分場は作らせてはいけない、と民衆も本気になりざるを得ないんじゃなかろうか。住宅地の下とか下流なら作ってもいいや、と言う人が多そうなのは残念だけどね。

 人間は、なかなか一度の出来事では、反省して行動を改めるという事にはなりにくい。たいてい、一度事件が起きても、ぐずぐずと対策をせず、その内に更に酷い事件が起き、また更に酷い事件が二度三度と起きて、ようやく重い腰をあげる。

 私は別に宗教的な人間じゃないが、天が人間に対して「そういうことをしちゃ駄目だよ」と教訓を与えてくれるなら、できれば一度の事件で行動を改めるべきだとは思うけれど。

 やはり、二度三度の繰り返しが必要なのかなぁ。

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