この週の天候を一言で言い表せば、「梅雨が本気を出した週」と言えるだろう。前回の日記でも書いたけれど、この6月は、梅雨らしい空ではあったものの、降水量となると案外少なく、田んぼのしろかきをするのにも水不足で苦しんだ。山の沢も、かなり涸れ気味だったと思う。
それがこの週に入ると、まとまったざあざあ雨が連日降り続き、道志川もすっかり茶色い濁流に変わった。もっとも、神奈川県でも北部の藤野は、大雨と言っても災害を心配する程ではなく、田畑にとっては待望の雨ぐらいの感覚なんだけど、千葉県とか神奈川県の南部では、災害を引き起こす大雨になったらしい。熱海では大規模な土砂災害が起こっていた。
雨も天の恵みだけど、もうちょっと穏やかに降ってくれないものか。これもやはり、気候変動の影響なんだろうか。
自分の棲む山里には、「トランジションタウン」という活動がある。町を単位とした、持続可能な世界を作って行こうと言う活動だが。
その活動をまとめた本が、今年出た。作ろうと決めてから実際に出来上がるまで、いろいろとご苦労もあったそうだ。以下のリンク先に、その本の紹介があります。
トランジションタウンとは何か、藤野でのトランジションタウンではどのような事が行われて来たかについては、以下の記事がまとまっている。
世界各地に広がる市民運動「トランジション・タウン」って? 地域の暮らしを考え、変えていく「藤野トランジションの学校」開校!
ただし、この記事は2013年のもので、現在はこの記事で書かれている「藤野トランジションの学校」は行われていない。それにかわって、形を変えた、「藤野トランジションの案内」といった事は、現在でも行われている。この活動も、既にかなり息の長いものになった。
で、さっそく本を読んでみたんだけど、読後第一の印象は、現時点での、トランジションタウンの、もっとも丁寧に、かつ網羅的にまとまった教科書だと感じた。今後、どのような質問者に対しても、「この本のこのページで回答できる」という性質を備えていて、それだけでも、この本が持つ重要な意義はあると言えると思った。
ただ、どうしても「教科書的」な本になると、全体像を漏らす事なく丁寧に解説する必要から、活動を通しての余計な部分、脇道にそれた部分、活動に関わった人々の個性のような人間臭い部分は削られがちになる。
本書を読みつつ、この本とは別の副読本のようなものがあると、更に面白いかなと感じた。
副読本のイメージとして、例えば、トランジション藤野で言えば、これまで様々な人たちが様々な取り組みをしてきたけれど、それぞれの出来事に関わった人にインタビューして、その時にその人たちが何を考え、どんな面白い話や苦労した話があるのかを、数ページずつまとめると、より、生身の人間が活動に携わって来た実感が、読者にも伝わるかと思った。
また、これは教科書よりも副読本の役割だと思うのだけど、教科書では「トランジションタウンの作り方」を説明する役割があるとしたら、副読本には「何度か挑戦してみたけれど、なかなかトランジションタウンが作れない場合の原因と対策」のような、裏の「虎の巻」のような役割があると私は考えている。
トランジションタウンという種を撒いても、なかなか芽を出さず、芽を出しても開花しない所もあるだろう。開花しても長続きせず、すぐに消えてしまう所もあるかもしれない。一方で、なぜか種を撒けば開花し、持続し続ける所もある。何がそれを左右しているのか。その原因に対する対策はあるのか、可能なのか。
成功事例よりも、失敗事例の方に、問題の核心が鮮明に現れる事もあるかと思う。そんな副読本があったら楽しいだろうなぁと思ったけれど、まあそれは、いずれ他の誰かが作るかもしれないな。
豪雨被害に限らず、疫病に限らず、いろいろと世界は人々に試練を与えてくる。いずれも災難には違いないのだけど、災難をきっかけにして強く豊かになって行く町も、あると思う。もちろん、その逆になる場合がほとんどなのは確かなのだけれど。
未来への芽になる町とか組織とか人々とかは、こんな災難の時に力を発揮して、新しい流れを作っていくのかもしれないな。
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