2021年 5月30日

 この週は、1日だけまとまった雨が降ったが、それ以外の日も、けっして爽やかに晴れ上がるという感じではなかった。晴れていても、空のけっこうな割合を雲が占め、やはり梅雨っぽさを感じさせる。

 数年前までなら、この季節にはミズキの白い花が多く咲いているはずなんだけど、近年はほとんど見る事が出来なくなった。理由はキアシドクガという蛾の幼虫で、これが大発生しては、ミズキが若葉を出したとたんに葉っぱを喰い尽くしてしまう。牧馬の周辺のミズキは、この虫によって丸裸にされてしまう。

 それでもミズキもけなげなもので、一度喰い尽くされて枯れ木同然の姿になっても、また葉を出そうとする。まあそれも結局、毛虫の餌食になるのだけど。

 しかしなあ、こんな状況が何年も経つと、ミズキがすっかり山から無くなって、今度はキアシドクガの食べ物が無くなってしまうだろう。その時はどうなるんだろう。他の食べられる葉っぱを探すのか、喰うに困って衰退していくのか。

 不思議なもので、毛虫が一方的に増えれば、それを餌にする鳥も増えて、それによって毛虫も減少し、自然界のバランスが取れそうなものだけど、まだ藤野の鳥たちにとって、この虫は食料として認められてないのかな。

 キアシドクガとミズキについては以下のサイトをご覧ください。

今年も大発生!キアシドクガ

 一見、変わらない様に見える自然も、数年単位で変わり続けている。ある動植物が優勢になり、ある動植物が衰退して姿を消していく事は、意外に多い。20年前に比べれば、冬の寒さはかなりやわらぎ、夏の暑さは厳しくなった。かつては牧馬なら、真夏でも寝苦しさを感じさせる事はほとんど無かったのに、近年は、なかなか夜になっても涼しくなってくれない日も増えた。

 初冬には、厳しく乾いた寒風が吹き抜けてくれないと、干し柿が作りにくくなってしまう。暖かいと、柿が乾かずにカビが生えたりハエがたかったりで、干し柿になりにくい。今回の冬は雪があまり降らず、スタッドレタイヤの必要性がほとんど無かった。こんな冬が続くと、季節によってタイヤを交換する作業も衰退して、「もう、オールシーズンタイヤで十分なんじゃない?」と考えるようになるのかもな。

 こんなふうにして、かつては当たり前だった風習や文化が、過去のものになっていくのだろう。

 ああそうだ、さすがに年内は無理だとしても、数年後には普通にマスクをしなくてもいい世の中になって欲しいものだ。まさかマスクをし続けるのが新しい文化になるなんて、勘弁してくれと言いたくなる。

 ただ、疫病が治まっても、大都市への一極集中が終わり、郊外や地方へ分散化してくのは、新しい文化になるんじゃないかな。

 この日記で、前の二回ほど、現場の仕事に対する実力も理解も無いリーダーが、無理な仕事を現場に押し付け、その結果、できた製品やシステムに不具合が頻発している・・・といった事を書いた。

 でも世の中には、そんな不具合を頻発して会社を潰しちゃいられない、と危機感を持って経営している人も当然いるわけで、そういう人たちは、機能不全に陥らない組織の在り方、健康な文化を維持し続ける組織の在り方、持続可能な組織の在り方について、常に考えているのだろう。現場とリーダーの融和を図り、それぞれの心が乖離していくのを防ぐ工夫もしていると思う。

 機能不全に陥って破局を迎えた組織は、大騒動にもなるし、マスコミも取り上げるかもしれないし、人々の噂にも上りやすい。その一方、病的にならないように日頃から気をつけ、健康な組織を維持している所は、静かにたんたんと仕事を続けているだけなので、世間もあまり注目しない。

 失敗から学ぶのももちろん大事だ。失敗から学ぼうとしないよりは、遥かにマシだろう。ただ、その一歩先を目指そうとするなら、あまり世間には目立たない形で成功している所から学ぶ段階に進むべきだろう。

 世間には酷いニュースも確かに多い。派手な失敗、卑劣で悪徳に満ちた不正、そんなニュースには事欠かない。

 それでも、たんたんと仕事を続けて、派手な失敗や不正で世間を騒がすこともなく、静かに営みを続けている組織の方が、割合ではずっと多いことだろう。そこには、組織の健康を保つ為に思索を深めている知性も多いはずだ。

 世界は、思っているよりも、ずっと健康なのかもしれない。

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