2021年 5月23日

 この週は、ほとんど雨の降らない日は無かった。丸一日降る日もあれば、時々思い出した様にざあっと降る日もあれば、強風が吹き荒れながら雨が混じる日もあった。5月の半ばで早すぎる気がするが、梅雨入りしたと考えてもいいんじゃなかろうか。気象庁はまだ認めていないみたいだけど、認めない理由もあるのだろう。次の週は雨が降らない日が続くようだし。

 この日曜日は久しぶりの晴天になり、待ってましたとばかりに、どっと行楽の車やバイクが押し寄せてきた。なんだか非常事態宣言なんて、あって無きがごとしですねえ。まあ、ろくに補償もなく、休業ばかり押し付けられる飲食店にしてみれば、非常事態宣言なんてくそくらえという気持ちだってあると思うけれど。

 前回の日記で、このところ政府が打ち出すシステムや政策に、不具合が多発している、と言った事を書いたら、また出て来たね。なんでも防衛省で大規模なワクチン接種センターを立ち上げ、その予約サイトを運営したら、新聞社が試してみて、架空の番号を入れても予約が可能だったとか。それを指摘されると政府側は逆切れする。

 しかしねえ、この程度の事で逆切れするようじゃ、モノ作りは向いてないよ。武士の商法ならぬ、武士のモノ作りだったかな。

 写真機がまだフイルムだった頃、カメラメーカーが写真機の新商品を出したら、様々な雑誌社がその製品をテストして、ここが悪い、ここが劣っている、ここは改善すべきだ、と雑誌に掲載していた。そのテストの中に、カメラを明るい場所に長時間放置して、フィルムに光線が漏れて感光していないか試す項目もあった。

 このテストで光線漏れが指摘されたメーカーは、「レンズキャップもしないで長時間カメラを明るい場所に放置するなど、現実的なテストではない」と文句を言った所もあった。でもね、一般大衆は、そういったカメラの使い方もするからねぇ。

 一般大衆を相手にしたモノ作りって、「こんな変な使い方をするやつがいるのか」と、呆れるような使い方をする場合も想定する必要がある。よく例に出される話に、雨に濡れた猫を乾かしてやろうとして、電子レンジに入れて死なせてしまったと言うもの。猫の飼い主は電子レンジのメーカーを訴えて、メーカーの方が負けたと言うが(実話だろうか?)。

 一般大衆を相手にする製品、いわゆるコンシューマー製品を作る側は、利用者がどういう使い方をするか、どういう間違った使い方をするかについても、微に入り細に入り、深く想定して、あらかじめ対策を講じておかなければならない。

 先の話で出て来た新聞社のテストなんて、意地悪なテストの内にも入らない。むしろ、こういった指摘を政府は感謝すべきだろう。

 まああとこの話、現場はそうとう混乱してたんだろうな。そもそも何で防衛省がこんな仕事にかり出されなければならないのかも不明だし。前回の日記でも書いた、現場の事も判ってない指導者が、無茶な仕事を無茶な納期でやらせようとして失敗を重ねる雰囲気と、同じ匂いを感じる。「これは本来の我々の仕事ではない」と、愚痴を言って作業をしている人も、多いんじゃないのか。

 で、ここで話はがらっと変わるんだけど。

 昨年あたりからキャンプが流行りだして、道志川沿いのキャンプ場は、土日なら満員、平日にも客が途絶えない状態が続いている。なんでキャンプが流行りだしたのか、いろいろと理由は考えられるだろう。

 私は、その理由の一つに、人々の中に、原初的な実感を体験したい、という欲求が高まっていたんじゃないのかな、と思っている。

 常に携帯電話をいじりながら何でも出来てしまう時代。毎日の時間のほとんどを、仮想の場でのやりとりに使っている内に、仮想とは真逆の、生々しい現実と直接ふれあう経験に、いつのまにか飢えていたんじゃなかろうか。

 屋外で、雨露をしのぐ屋根を作り、火を熾し、野菜を刻んで調理し、風が吹き抜けていくのを感じながら、夜が更け、朝を迎える。そんな原初的な実感。

 日本がモノ作りが下手になったのは、物事をすべて頭で考えれば、その通りにうまく行くと考える人が増えてしまったからじゃないだろうか。実際は、いざ薪に火をつけるだけでも、手際よく出来る人もいれば、まるで駄目な人もいる。実際に自分の手足を使い、実感と経験に裏打ちされた実力と言うのは、頭だけで得た知識とは別物だ。

 私はキャンプブームを過大評価しているのかもしれない。でも、モノ作りの底力を復活させるなら、キャンプで火を熾す所から始めるのも、いいかもしれない。

0コメント

  • 1000 / 1000