2021年 5月16日

 山はすっかり夏の景色。陽もかなり長くなり、これから夏至まで、夜の7時頃まで、それなりに明るい日々が続く。5月は爽やかな印象があるが、週に二日は雨が降るようで、どこか梅雨の走りが始まっている様にも感じる。

 相変わらず土日は行楽の車が多い。道志川沿いのキャンプ場も満員だ。ただ、新型肺炎の変異株の影響か、4月下旬あたりから感染者が増加傾向にあるようだけど、これって油断じゃないかなぁ。

 相模原市でも、新型肺炎のワクチンの接種が始まっているらしい。まずは75歳以上の高齢者から。5月16日から6月6日にかけて行われる接種の予約の受付が13日にあったようだが、朝の8時半から始まった予約受付は50分で定員に達して終了したそうな。

 まあ、急いでワクチンを受けたいと思う気持ちは判る。特に高齢者や病弱な方々は当然だ。ただ、副作用もあるようですね。中には危険な状況に追い込まれる場合もあるとか。

 自分が、75歳以上の立場だったら、どうしていたかな。こんな事も考えるのだけど、新型肺炎が流行して、たかだか1年余りだ。今使われているワクチンも、ここ1年で大急ぎで作った物だろう。これから、欠点を克服した、より安全な改良型ワクチンも毎年の様に出て来るんじゃないのかな。まあ私は専門家じゃないからわからないけれど。

 自動車だって、新車が発売された直後には、メーカーも想定していなかった不具合が見つかってリコールが行われる事は普通にある。そんなリコールを幾つか経て、数年後には欠点をほぼ解消した、安定した品質の車になるものだけど。

 今のワクチンだって、急拵えなのは否定できまい。これから第2次、第3次の改良が加えられて、品質が安定して来るんじゃないのかなぁ。それを待ってから接種すると言うのはどうだろう。もちろん、医療従事者への接種とか、そんなのんきな事を言ってられない人々も多いのは承知だけどね。

 日本政府としては、7月中に高齢者への接種を終わらせる予定だったそうだけど、とても無理だと判明して来た。オリンピックをやりたがっている割には、足下の安全対策がグダグダな感じだ。

 いや、ワクチンだけじゃない。なんかここ数年、日本政府が作るシステムやら政策やらに、妙な不具合が多い。そして、その不具合によく似た不具合が、私の身の回りにも時々現れる(例えば私の仕事先の関係とか)。

 それで、その不具合の原因が、なんとなく想像がつくのだけど、日本から職人がいなくなったのが原因かなぁと思う。

 いや、「職人がいない」わけではない。職人に仕事の指示を出す側が、仕事の内容を理解していない、と言った方が正確だろう。

 例えば、家を建てる場合。設計する人は、どのような材料を使い、どのような工法を使い、どのような職人にお願いして、どのような期間で家を建てるか、正確に把握している必要がある。急な設計変更があった場合でも、柔軟に対応して、現場の職人とも認識を共有して、設計変更を成功に導いていく。

 でも今の日本って、家がどのように建てられ、どのような職人が、どのような技術で作業しているのかの知識が、まるでない設計士が、「いいから私が言った通りに建てろ」と無茶な命令をしている現場が多いんじゃないかな。結果、無理のある工法で、無理のある期間で家を建て、欠陥住宅を量産しているのが、今の世の中なんじゃないか。

 自動車だって、昭和の中頃までは、自身あぶらまみれになりながら機械と格闘してきた経験を持つ、腕に覚えのある人が経営に参加していたと思う。そういう人がトップにいると、現場の職人にたいしても、無茶な要求はしないで、現場と一緒になって考えを巡らせる事もできただろう。

 うーん、学歴社会が全て悪いとは言わないけれど、現場の職人と心を通わせられない頭だけのエリートを世の中に排出して来たツケが、こんな形であらわになったのかな。

 終戦直後でも、日本人の半数は百姓だったそうな。戦後の工業や経済を発展させて来たのは、そんな、手足を使って物作りをした経験のある人々だったのだろう。そういう経験のある人なら、現場を離れて、現場の職人に指示を出す立場になっても、現場の職人に何ができるか、何が出来ないかをよく把握して、的確な指示を出していたのだと思う。

 国の政策でも、企業の経営でも、トップと現場の乖離で機能不全に陥ってきたのが今の姿なら、その乖離を解消し、気持ちが混じり合う組織を作る事に成功している所は、これから世の表に出て来るんだろうな。

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