新緑も丹沢の上の方まで達して、山は全て濃い緑色になった。こうなると、新緑の初めの頃の、淡く夢のような景色ではなくなり、やや単調な緑一色の光景になる。
5月の連休は、出だしこそ、「やや行楽の車は少なめかな、やはり緊急事態宣言が効いたのか」と思ったけど、後半はまあ大変な人出だった。こんなときは、近所のスーパーに買い物に行くのも面倒になる。行楽の車の渋滞に巻き込まれるから。
疫病の流行中に旅行に出回るのは感心しないなぁ、という人も多いだろう。ただ、車やバイクに乗って遠出する限りにおいては、感染の拡大は無いはずだ。もちろん、そうして遠出した人々が、行楽地で集団で交流する事で、感染の拡大を招いてしまうわけだけど。
車やバイクで出かけて、人気の少ない田舎で、孤独にキャンプするくらいなら、まあいいんじゃないかとは思うけれど、キャンプ場も満員状態なんだよねえ。これではキャンプ場も感染拡大の発生地になりかねない。
もしかしたら、これからの行楽の形として、あまり「満員状態」を作らないことを理想とする世の中になるのかな。沢山の人たちが、同じ場所に一斉に殺到するよりは、ずっと好ましい観光の形だと私は思うけれど。
これは疫病の影響かは判らないけれど、こんな話を聞いた。なんでも、木材の輸入が滞りがちになり、国産の木材の価格が、やや上昇傾向にあるとか。未確認の話なんだけど。
なんかこのところ、グローバル化にブレーキがかかり、世界の物流が滞り、その土地その土地で工夫して現地生産を見直す流れはあるようだ。もしかしたら、木材もその流れに乗っかるのだろうか。
山里に住んでいる身としては、良い機会なんじゃないかとは思う。山里と言えば、産業と言えば農業と観光くらいしかなく、これに林業に復活の兆しがあれば、減るばかりだった山里の人口にも明るさが見えてくる。
ただねえ、いくら国産材に価値が見直されて来ても、昔ながらの林業の復活では、人は集まらないだろうね。これはあまり知られていないけれど、林業って、漁業よりも保険が高い。それだけ、死にやすい業種であると言える。何でも、一般の仕事の平均に比べて、事故率は12倍になるという。こんな状況を残したまま、若者に林業に来てくれとは言いにくい。
なんとかならないかねぇ。日本の山林の特殊な事情にあった、便利で安全な機械でも開発してくれないかしらん。
それに、人が足りないのは林業の現場だけではない。山から運んできた木を製材する製材所も、今ではすっかり数を減らしたし、高齢化が進んでいる。もう一度、山の木々をその土地で切り出し、加工できるようにするのには、いろんな設備や環境を再生して整えなければならない。課題は山積みだ。
・・・とまあ、心配な点を数え上げればきりがないが、それでも、日本の山里に追い風が吹くかもしれない、という期待は、心地よく明るい気持ちにはなる。若者達が安心して働けて定住できる山里の復活は、かなうのだろうか。
話はちょっと変わるのだけど、ここ数年のキャンプの流行で、キャンプ場で使う薪の消費量がやたらと増えている。私の棲む牧馬の周辺だけでも、ホームセンターでもスーパーでも多くの薪を売る様になった。もちろんキャンプ場でも売っている。
山の木々の利用で、時々問題になるのが、間伐材をどうするかと言う話がある。細いので加工に不向きで利用手段も乏しい。ただ、キャンプ場で使う薪なんかには、ちょうどいいんじゃないかな。
間伐材の売れ先、利用先が沢山あるのは、林業の再生のハードルを下げるのに、役に立つだろう。
もしキャンプの流行が一時的なものでなく、このまま継続して文化として定着したら、そこで薪の安定した利用先が生まれる事になる。さらに、今時のキャンプブームは、夏だけでなく冬にも客がいる。通年して薪の需要があるのだ。
「冬は、薪ストーブの方が売れるんじゃない?」と思う人もいるかな。でも、針葉樹の間伐材で作る薪は、キャンプ場での煮炊き目的には最適だけど、薪ストーブには歓迎されない。薪ストーブには、火の付きはいいけれど早めに燃え尽きてしまう針葉樹は不向きで、一度燃え始めたら長く燃え続けるクヌギやナラのような広葉樹が好まれる。
広葉樹を山から運び出すのは、針葉樹を運び出すよりも、もっと苦労が多いんだけどね。
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