28日の昼から降り始めた雪は、その前の週の雪よりは、やや本格的だった。といっても、牧馬でも5センチ程度積もったかどうかといったところ。それでも一時的には道路にも積もり、除雪車も出た。今回の冬は、あまり迫力のある雪は降らない。いつもだったら、2〜30センチ程度の雪は、一回くらいはあるのだけど。まあ有難いような、物足りないような。丹沢に積もる根雪も、いくぶん少なめだ。
寒さが緩んで、梅もほころび始め、このまま春が来るかなと思われたが、もちろんそんなことは無く、肌にしみ込んで来るような寒い風が吹く日も巡って来る。2月はどんな感じだろう。
相模原市が、「シビックプライド条例」を出そうとしている。また横文字かい、と思うけれど、要するに市民に郷土愛を醸成させるのが目的らしい。一応、シビックプライドという言葉の定義として「町に対する誇り、愛着および共感を持ち、まちのために自ら関わっていこうする気持ち」と、条例案では書いてある。
なんでこんな条例を作ろうと考えたかと言えば、今後の人口減少社会に向けて、持続可能な地域社会を作って行く為の一助にしたいからだそうだ。
まあ、こんな市民感情を望む市の立場も判らないこともない。例えば、自治体でもいいし企業でもいい、何かの組織が危機的な事態に陥った時、その組織を立て直そうとしても、その組織の構成員が「こんな組織、もうだめだ」とか「救うに値しない」とか考えている状態だと、なかなか立て直すのも難しい。
「確かに危機的な状態だが、まだ捨てたもんじゃない。これからもみんなで支えて行くべき、大切な組織だ」と多くの人が考える状態なら、危機から脱する気概もアイデアも沸いてくるだろうし、成功する可能性も高くなる。だから、郷土愛の醸成も、決して悪いわけではないのだが。
ただ、誰だってブラック企業なんて、危機的状況になっても支える気持ちになれないように、その組織が支えるに足るだけの愛情を注げる組織かどうかが、問題になって来る。
市民に郷土愛があるから、市民が社会参加して、住みやすい市になるのだろうか。それとも、住みやすい市だから、市民が「この市は大切にしてこの良好な状態を継続しなければならない」と感じて、社会参加を率先して行い、郷土愛が育まれて行くのか。
この場合、「郷土愛」と「住みやすい市」は、鶏と卵の関係で、どちらも原因とも結果ともとれる。
この事を考えると、私としては、市民にシビックプライドの醸成を働きかける条例を作るのならば、同時に、市民にシビックプライドが自然に芽生えるような市政をどう作っていくかの目標と計画を定めた条例も、並記すべきだろうと考える。市民が市を愛する様になってもらうには、愛されるに足る市を目指して実行し続ける努力も必要になるだろう。今回の条例案で、その点の所はどうなっているのだろう。
話はややずれるけれど、藤野町が相模原市に合併する前、町の政策としてフィルムコミッションを推進していた。テレビや映画の撮影地として、自治体がいろいろと便宜を図る取り組みで、撮影する側としても、撮影作業のしやすい環境を自治体が整えてくれるので、当然、その自治体を撮影の舞台にした作品が増える様になる。この政策、合併後の相模原市でも引き続いて行われているはずだ。
今にして思うと、このフィルムコミッション、住民に「この町も、けっして捨てたもんじゃない」という気持ちを芽生えさせるのに、けっこう効果的だったんじゃないかと思っている。まあ、果たしてどの程度、住民の感情を動かし得たか、数値的に実証されているわけではないと思うが。
映画とかテレビドラマで、自分の住んでいる地域が、綺麗な映像で出て来ると、不思議と明るい気持ちになる。
住民が、自分が住んでいる所に愛着を持ち、「とても良い町だよ」と言えるような気持ちになるには、いろんな条件があるだろう。何より、その町が、人を大切にして、人を愛情もって育てる町である事が最初の条件になってくるが。
美的、芸術的な手法で、郷土愛を醸成する方法だって、意外と効果的なんじゃないかと思う。
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