自分が参加している田んぼの稲刈りがあった。今年の稲は、まあまあの出来で、稲の生育には猛暑は悪い影響は与えなかったらしい。他の農作物では、暑すぎて駄目になる夏野菜も多かったし、山の木々も紅葉を前にして、力尽きたように葉を落としたり、枯れてしまうものもあったが。
むしろ、今回の田んぼでは気候の影響よりも、キジの害が目立った。いちおう、ここの田んぼはイノシシや鹿が入らないように柵があるけれど、空を飛んでくる鳥に対しては防ぎようがない。まあ、稲の上にテグスのような網を張って、鳥が嫌がるような仕掛けをすれば、少しは被害も減るけれど。キジってやつは、雀のように米をつつくような食べ方をするのではなく、果敢に稲を倒して米を食べようとする。そんなキジに倒された箇所がいくつかあった。これから稲穂を天日干しして脱穀をし、年末に餅つきをしたら、今年の稲作も終了という事になる。
それにしても今年は、猛暑の年でもあたけれど、山の熊が暴れるニュースが絶えなかった年でもある。猛暑は既に終わっているけれど、熊の害は現在進行形で、毎日の様に熊に襲われた事件の話が出てくる。特に今の時期は、キノコを採りに山に入る人がいるので、そこを熊に襲われる事例も多いらしい。
たぶん今年は、全国的な規模で、改めて山の熊の問題について考えを巡らせる出発点の年になるんだろうな。
藤野でも熊の目撃例はちょくちょくある。人が襲われてけがをしたりするような事件はまだないが、養蜂をやっている人の蜂の巣箱を壊されるような被害は、継続して発生している。あまり考えたくない話だが、どこかの段階で、藤野近辺でも人が熊に襲われるような被害が起こる事があるかもしれない。そうなると、相模原市としても神奈川県としても、何らかの対策に本腰を入れざるを得なくなってくるだろう。
さてここで断っておくけれど、私は熊の専門家ではないし、山の自然の専門家でもない。なので、「有効な熊の対策はこれだ」なんて提案は出来る知識も経験もない。ただ、近年の熊の問題を考えると、イノシシや鹿や猿が山から里に下りてきて、人里を荒らしまくる流れと、基本的には同じ問題なんだろうな、と思った。
2~30年前までなら、イノシシすら里には降りてこなかった。わざわざ柵を作らなくても、ジャガイモもカボチャも育てられた。でも徐々にそれらの動物が里に下りて来るようになり、徐々に遠慮が無くなり、徐々にやりたい放題に荒らしまくるようになった。
「徐々に遠慮がなくなり」って、どういう意味かを説明すると、ある頃からイノシシの目撃例が出始め、イノシシが穴を掘り起こした場所も目に着くようになったけれど、それでも猟期が始まると、ぱったりと姿を見せなくなっていた。そして猟期が終わると、すぐに姿を現すようになった。「イノシシはカレンダーを見て行動しているに違いない」と思ったものだ。
それがいつからか、猟期の真っ最中でも平然と里を荒らすようになってきた。山の動物たちは、段階を進めるように、その図々しさを加速させていく。その結果が、今のイノシシや鹿や猿が荒らしまわる山里の姿で、そこに最後の大物の熊の登場となったのだろう。熊だって、最初は警戒しながら里に下りてきたのが、年を追うごとに遠慮が無くなって、堂々と荒らしまわるようになっていく。
さて、何を言いたいのかと言いますと、昔は山の動物たちは、人間が相当怖かったんじゃないかなぁ、という事。それが、少しずつ里にちょっかいを出しても、ほとんど抵抗らしい抵抗もないので、どんどんやりたい放題になっていく。もし、熊も含めた有害鳥獣の問題を何とかしたかったら、この流れを逆回転させるのが、もっとも分かりやすい理屈なんじゃなかろうか。つまり、人間が怖くなるという事です。
イノシシや鹿が里に下りてきたら、「そうら、肉が降りてきた」と罠や鉄砲で仕留めて、(イノシシや鹿は食べたことがあるけれど、熊って美味しいのかなぁ、聞く所では、けっこう強い臭みがあると言う話だが)、野生の動物がビビりまくる状態を作る。半世紀前の藤野の光景は、案外、そんな猛々しい人間で溢れていたのだろう。
残念ながら、今は猟銃を扱える人も減ってしまい、山の動物の肉を食べる文化も、ほとんど絶えてしまった。それを再興するのには、よほどの知恵と歳月が必要になるだろう。
個人的に期待しているのが、未来のテクノロジーかなぁ。空を飛ぶドローンとか、山の斜面を歩行できるロボットとか、そういった未来のハイテクが、里に動物が降りてこないような「夜警」の仕事を担うような時代になってくれないだろうか。
でも、機械に頼って人力では何もできないような人間になると言うのは、進化と言うよりは退化と言うべきかもしれない。
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