確かに梅雨らしい日々が続いている。天気は概ねどんよりとした曇り空で、晴れる時もすっきりとした青空になる事は少ない。
こういった梅雨時って天気予報が難しいのか、雨の予報でも降らなかったり、その逆だったりと、予報の精度が安定しないね。今回の日曜日は当初は雨の予報だったのが、それほど降らないで、それどころか晴れ渡ってきたので草刈りをした。急に蒸し暑さもやってきて、草刈りを少しするだけで滝のような汗を流す。最近は扇風機の付いた服が流行だけど、自分も買ってみようかしらん。
草刈りと言えば、妙な思い出がある。
動画配信サイトに、ある草刈りを競技にした動画があったのだけど。
手動の大鎌と、エンジン式の草刈り機との競争で、手動の大鎌の方が早く草を刈っている。この動画を見て感心した知人が、やたらと私に「これいいじゃない、君も是非、こういった鎌で草を刈るべきだ」と進めてきたのには閉口した。何でも、こっちの方がエンジンを使うよりもエコだし自然に優しいし、という理由で。
「あのねえ、実際の草刈りは、こんな理想的な場所での草刈りじゃないよ」
動画にあるような平坦な土地に、均一な草が生えているような現場なんて、そうそうない。斜面だったり窪地だったり、草も柔らかいもの、固いもの、木に近いもの、竹や笹、ツルや繊維が強いもの、様々な草が生えている。厄介なのは草むらの中に石があったり金属があったり。こういった雑多な問題を多数抱えた現場で草を刈るのが標準で、そうなると草刈の道具も、そういった現場に対応できるものになっていく。
何年も実際の現場で草刈りをしていれば、自分なりの最良の装備が決まって来る。その最良の装備が決まるまでの道のりには、「これは便利かもしれない」と試しに買ってみた道具が、果たして便利だった場合もあれば、「これは使えない」と諦めることもあり、そういった山のような経験がある。
例の大鎌を私に勧めて来た人は、動画を見て感心しても、自分では草刈りをしていない人だった。なので私は、
「そんなに大鎌での草刈りが素晴らしいと思うのなら、まずあなたがやってみなさい」
と答えた。
誤解してほしくないのだけど、私は大鎌が無価値だとは言っていない。というか、私も持っている。エンジン式の草刈り機よりもはるかに軽量なので、これはこれでけっこう重宝する現場だってある。そういった場所では私も使っているのです。
でも実際の現場では、大鎌も持っていけば、エンジン式の草刈り機も、チップソーの刃と笹刈り刃と、ナイロンコードも持っていき、それぞれを場所に合わせて使い分けている。結局は適材適所なんですよ。
まあこれは草刈りの話なんだけど、他にも、山仕事の道具について、「こっちの道具の方が環境に良くて自然に優しい」と推薦する人がいるけれど、あまりこういった助言には実りが無い。それは、推薦する人が実際に長い年月にわたって使い続けている道具じゃなく、単に知識だけで推薦しているからだ。
実際に役に立つ助言をしてくれる人は、やはり実際に現場で使い続けている人の意見だけである。なので、陽に焼けていない人の助言は聞かない事にしている。
まともな知識とか情報を出す人って、頭だけの人間じゃダメなんじゃないかと常々思う。まともな助言をしてくれる人は、手足や体のつくりも違うほど「有形文化財」に、その人自身がなっている場合が多い。
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